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2025.04.23
《物件概要》
物件名:ホテル ラ ヴィーニュ 白馬 by 温故知新(la vigne hakuba)
住所:長野県北安曇郡白馬村北城 3020-1116
アクセス:JR大糸線白馬駅より送迎 約7分
JR長野駅よりバス 約70分 白馬八方バスターミナルより送迎 約3分
構造:鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造) 地上5階建
延床面積:4,999.14㎡(部屋数38戸)
設計:アーキヴィジョン広谷スタジオ
施工:守谷商会
ホテル運営:温故知新
ホテル開業日:2024年12月
2024年12月に開業したラグジュアリーホテルコンドミニアム「ラ ヴィーニュ白馬」。
リストデベロップメント初のリゾート開発案件であり、リストグループにとっても重要なプロジェクトとなった本件は、販売・宿泊予約ともに好調だという。今回の開業にいたるまでに一体どのような過程や苦労があったのか、プロジェクト担当者の桑名に話を聞いた。
プロフィール
桑名 洋(くわな ひろし)
所属:リストデベロップメント株式会社 投資・開発事業本部 3部 課長
経歴:横浜国立大学工学部 卒業 2008年新卒入社
新卒時はリスト株式会社マンション事業本部に配属され、新築マンションの販売事業を担当。その後はアセット事業部、企画営業部、戸建事業部、投資顧問事業部、分社化により現在のリストデベロップメント株式会社に所属。上大岡の駅前再開発事業(商業施設mioka)や、miokaのプロパティマネジメント、戸建開発、収益物件再生、マンション開発、高級住宅開発、ホテル・旅館開発再生、リゾート開発案件の仕入れ、運用を経験。
趣味はトライアスロン、マラソン。
――まずは白馬エリアについて教えてください。
白馬は長野県の北西部の村で、北アルプス、八方尾根などの山々に囲まれた自然豊かなエリアです。
北アルプス山麓に位置している白馬村、小谷村、大町市を「“Hakuba Valley”(白馬バレー)」と総称してプロモーションしており、白馬八方尾根スキー場をはじめとする10のスキー場を行き来できるようになっています。
世界随一のパウダースノーで世界中のスキーヤーの憧れとなっているエリアの一つですね。
――そんなに白馬に注目が集まっているのですね!
ええ。特に、日本ならではの水分が少ないふわふわとした雪質は特徴的で、“*JAPOW”(ジャパウ)という愛称がつくほど注目されています。雪上を滑ると、まるで宙に浮いているかのような感覚を味わえると国内外のお客様から人気を博しています。
1998年に開催された長野オリンピックの開催地になり、スキージャンプでの日本男子の団体優勝など多くの名場面を生んだ舞台になりました。
また、地域としての取り組みも素晴らしく、国連の専門機関である世界観光機関(UNWTO)の「ベスト・ツーリズム・ビレッジ2023」に白馬村が認定され、持続可能な開発と観光への取り組みが評価されています。
*JAPOW(Japanとpowder snowを繋げた造語)
――そもそもホテルコンドミニアムは通常のホテルとどう違うのでしょうか?
一般的なホテルはオーナーが建物を1棟で所有されていることが多いのですが、ホテルコンドミニアムは分譲型のホテルとして各部屋をそれぞれのオーナー様が所有しているイメージです。
分譲型のマンションがイメージしやすい例でしょう。オーナー様は別荘としてお部屋をご利用いただけますし、使わない時にはホテルの客室として一般のお客様に貸し出すことで賃貸収入を得ることができます。
客室の宿泊予約等の運営については運営会社や管理会社にお任せできるので日頃の手間はかからず、トップシーズンでも自己利用できるなどのメリットがあるスタイルになっております。
――どういった方々をターゲットに想定されていたのですか?
国内外の富裕層のお客様に響く物件になると考えていました。海外のお客様はシンガポールや香港、フィリピン、タイなどを中心とした東南アジアの方々、日本国内では、スキーリゾートを愛されている自己利用目的の方々、ニセコエリアに比して求めやすく、これからも上り基調になるであろうマーケットについて感度の高い方々が購入されるのではと想定できました。
25年3月時点で既にほぼすべてのお部屋を購入いただいておりますが、ターゲットに大きな外れはなかったと思います。ただ、想像以上に投資目的ではなく自己利用のニーズも高かったため、白馬エリアやスノーリゾートには大きな可能性があるなと改めて感じました。
――既にホテルとして開業していますが、その建物にはどのような特徴があるのでしょうか?
建物の設計において、自然豊かで壮大なこの白馬エリアの景観を最大限に活かせるかが課題でした。この物件は事業性を重視して今より建物を高くすることも可能でした。
しかし、現地の方々とも対話していく中で、現地の景観を可能な限り損なわず、且つ地域の魅力づけになるようなホテルにすべく高さを抑えた設計に変更いたしました。
また、建物の圧迫感を軽減するために2部屋ごとに区切ったデザインを採用しています。結果的に全部屋を角部屋にすることができたため、景観への配慮と利用されるお客様への特別な空間づくりを両立できているのは特徴的なポイントと言えると思います。
――ホテルのコンセプトについて伺えますか?
今回、ホテルの運営には日本国内で数々のスモールラグジュアリーホテルを手掛けられ、ミシュランガイドにおいて最高評価(5レッド・パビリオン)として掲載経験もある株式会社温故知新様に参画いただいております。
地域としての良さを生かすため、地元食材をふんだんに取り入れてお客様にストーリーを感じていただけるようなホテル作りをしていただきました。ホテルの名称となっている「la vigne(ラヴィーニュ)」は “ぶどうの木”という意味です。
長野県は全国でも有数のぶどうの名産地ですから、愛好家の方も多いワインやぶどうにフォーカスをしています。北海道洞爺湖サミットで首脳をもてなしたワインコンシェルジュが選んだ1,000本以上のワインを巨大ワインセラーにストックし、長野をはじめとする日本ワインをお楽しみいただけるようになっています。
外観や内装のカラーとしても臙脂(えんじ)色を随所で採用し、コンセプトとの統一感を持たせたデザインになっております。長野のショーケースとして、お客様に楽しんでいただけるような非常に洗練されたサービスづくりをしていただき大変感謝しております。
まさに、温故知新さんが掲げる「旅の目的地となるホテル」になったと確信しています。
――そもそも、どうしてリストグループとしてリゾート開発に取り組み始めたのですか?
弊社グループのリストインターナショナルリアルティは、「Sotheby’s International Realty®」というブランドの日本における独占営業権を持ち、富裕層のお客様との取引実績が年々増えてきている状況です。それに伴い、お客様からの「こういった不動産商品が欲しい」という要望の声も積みあがってきました。
私が所属するリストデベロップメントは不動産開発を行っているため、グループで富裕層のマーケット情報を得られるからこそ自社でも商品を開発していこうという方針が立ち上がりました。そんな中、今回の案件に出会ったことでリゾート開発第1号案件として今回のプロジェクトが始まっていきました。
こういった開発案件が今後増えていくとグループとしてのさらなるシナジーも生まれるため、失敗できない非常に大切なプロジェクトだと認識していました。その分大きなプレッシャーもありました。
――はじめてのスノーリゾート開発に対して、社内はどんな反応だったのでしょうか?
社内会議でプロジェクト実施の是非を諮るのですが、正直初めのうちは「本当に仕入れて大丈夫なのか」という疑念の声ももちろんありました。
というのも、今回のホテルの総戸数は38戸と規模があるのに対し、同じ白馬エリアの高級物件はそもそも数が少ない上に、あっても10戸以下の小規模な比較物件しかない。同エリアでの事例が整っているとはまったく言えない状況のため、リスクと隣り合わせであることは承知していました。
ただ、現地視察やマーケット情報の収集を通してこのプロジェクトへの自信もついていましたし、事例が多くないからこそ進める意義の大きい案件だと感じていました。
何より、担当者がプロジェクトに対して弱気になってはいけませんから、「問題ありません、絶対に大丈夫です。」と自分を奮い立たせていました。
――その後は無事にプロジェクトに着手できたのですか?
はい、何とか着手することができました。ただ、プロジェクトが始まってからは本当に苦難の連続でした…。設計の変更の必要性が生じたり、ゼネコンの人手不足が加速して着工が大幅に遅れたり、工事費も毎月のようにあがって当初の想定から大幅に上がってしまいました。
プロジェクトの予算を見直さなければいけない状況が発生したり、その他にも毎週のように様々な課題に直面していたと思います。プロジェクトの進捗確認で改めて追求を受けた日々の記憶がよみがえってきます(笑)。プロジェクト成功のために目前の課題をどうクリアすればいいか、常に必死になっていましたね。
結果的には元々見込んでいたマーケットの上昇も味方してくれて、販売を開始し、竣工まで迎えることができました。現在では販売も宿泊も好調に進んでいて本当にほっとしています。
――プロジェクトを成立させるには多くの壁があるのですね。
そうですね。そもそも、このプロジェクトは協力会社様や関係各所の皆様のお力添えがなければ形になっていません。ホテルコンドミニアムの契約スキームなどについても初めての経験でしたし、コンセプトに基づく家具選び一つをとっても、従来のマンション開発事業ではお客様が家具を選ばれるため我々には知見がなく、そもそもどう決めていくべきかわからない等々。数えきれない場面でご助力いただきようやくプロジェクトが成立しました。
とても大変でしたが、皆様のおかげで徐々に物件が形になっていく過程はとてもワクワクする体験でした。打ち合わせ段階から知識や経験面での大きな差がある中でも、プロジェクトに共感し協力して下さる方々や企業様がいらっしゃったからこそ、今こうしてすばらしい商品とサービスをお客様に提供することができています。
――実際に建物が竣工してホテルも開業しましたが、率直にどのように感じていますか?
まだプロジェクト自体は継続中ですが、やはり感慨深い気持ちです。振り返って「もっとこうできたな」と思う点を挙げればきりがありませんが、今後の改善点になると前向きに捉えています。それ以上に、このリゾート開発1号案件の成功は、リストデベロップメントとしてもリストグループとしても大きな意義があると感じています。
必ずしも良い報道ばかりではありませんが、白馬村の地価上昇の話題も相まって沢山のメディアでラヴィーニュ白馬を取り上げていただけたことは、非常にありがたく思っています。リストグループはまだ上場企業ほどの知名度はありませんが、こういったプロジェクトをきっかけに多くの方や企業に知っていただけると嬉しく思います。
――会社として多くの方に知っていただく機会にもなったのですね。
ええ。また、こういったメディアへの露出は少なからず地域貢献への可能性を秘めていると思います。ホテルに魅力を感じて宿泊客が増えれば直接的な貢献に繋がりますし、白馬にフォーカスした報道や記事を通して地域に興味が向いてくれるだけでも価値があると思います。
ビジネスチャンスを感じる人、観光地としての魅力に気づく人、オーバーツーリズムなど観光業への問題意識を持つ人など。人や企業が多方面から集まってくることで地域のさらなる活性化に繋がれば、私たちのリゾート開発の意義もより大きなものになるはずです。
「リストがリゾート開発をした地域には人が集まる。」
そんな流れが創り出せてしまえば、さらに社会から求められる会社になっていけると信じています。
今回、パウダースノーで人気を博する白馬エリアの可能性と、多くの関係会社と度重なる折衝の末ようやく誕生したラグジュアリーホテルコンドミニアム「ラ ヴィーニュ白馬」の魅力を語っていただきました。
リストデベロップメントは本件の他にもニセコ・軽井沢・阿蘇でのリゾート開発や、首都圏のプロジェクトなど様々なプロジェクトに取り組んでいます。記事を見て興味の湧くプロジェクトがあれば、ぜひ担当者に話を聞いてみてください!